ひとり坐(ざ)し
ひとり臥(ふ)し
ひとり遊行(ゆぎょう)して
うむことなし
ひとり自己(おのれ)をととのえ
林間(このま)にありて
心たのしむ
友松圓諦訳 【法句経 】第305番
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今、降り続く雨が、
どこから来たのかを、
静かにたどることは、
すこし黄色みを帯びた和紙の上に、
すっ 、
と一筆、墨を走らせる静けさに似ています。
この雨は、どこから来て、どこへ行くのか。
いま、降り続く雨に出逢えるのは、
いったい何年先なのか。
この雨は、
どこの川から流れこみ、
どこの海から蒸発し、
どこの土地に降り注いだ雨が、
川となって海となって雨となって、
ここに降るのか。
この雨は、遠い昔、どこかで出逢った雨ではないか。
いつぞやのわたしを濡らし、
わたしを押し流し、
わたしを沈め、
わたしを育んだ雨ではなかったか。
今日の雨は、どんな記憶を持っているのだろうと、
耳を澄ませます。
雨の記憶は、
魂の記憶に寄り添い、
どこまでもどこまでも、
美しい輪を描き続けます。
今宵の雨が、
できうるかぎりの人々にとって、
幸せな記憶に繋がりますように。
◆チベット玉樹大地震の被災者の方々に、平穏な日々がもたらされますように◆
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