2010年4月28日水曜日

~ 拍動 ~

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「思慮のある」「思慮のない」ということばは、
心の状態がリズミックであるかないかということを意味しています。
均衡は、生命を支えている唯一の力ですが、
それはリズムによって保たれます。


呼吸は、心と体を結びつけ、心と魂を繋いでいますが、その本質は、目覚めていようと眠っていようと、絶えまなくリズムを保つことにあるのです。


呼気と吸気は時計の振子が揺れうごくようなものでしょう。
呼吸によってあらゆる力やエネルギーが維持されるといわれ、呼吸が生命のしるしであり、その本性は左右交互に流れることだといわれるとき、
これはみな、リズムが生命においてこのうえなく重要だといことを示しているのです。


ハズラト・イナーヤト・ハーン著「音の神秘
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幼いころ、


枕に顔を押し付けて眠ろうとすると、


細い唸りのような、


細かい砂粒でできた川の流れが遠くで響くような、


そんな音がずっと聞こえて眠れず、


泣いて母に訴えていました。






耳鳴りかと耳鼻科に行っても不調はなく、


仕方なく帰ってきたのを覚えています。






阪神大震災の後、少しの地震でも怖くて敏感に反応し、


それからは


座っていても波打つように揺れている感覚に幾度も襲われました。






今は、それらが何なのか、わかるようになりました。




砂粒の川の響きは、


自分自身の赤血球の流れる血流の音であったこと。




波打つのは、


自分の心臓の拍動、


押し出される血流のドクン、という一波であったこと。






心臓が押し出す血液が、ぎゅんとこめかみにまで昇る感触、


一呼吸ごとに酸素が、なんとか体中を廻ろうとしていること、


肺胞がもっと深く呼吸をしろと、わたしをせっつくこと。


静かな気配のなか、


一瞬の光のような、変化、変容。




すこしだけ、分かるようになりました。






昔は大好きだったチョコレートやお酒も、


摂取すると鎖骨のリンパが詰まる感覚になります。




白米は、糖度が高いということを、血液が教えてくれます。




疲れすぎて、自分の中に、響きではなく「リズム」が足りないと、


少しビートの強い、シンフォニックなロックを聴きたくなります。






感情のたかぶりのまま、体内に摂取するとき、


水の中に黒いインクを垂らすのか、


清い水を注いでいるのか、


少しだけ、イメージしてみます。






百薬として、摂取するのか。




意識を酩酊させ、変容させたいために摂るのか。




左の胸に手を当て、


問うてみます。






そんなことをしなくても、


拍動の一瞬、一瞬のたびに、


微細な部分で、


常に異なる状態の自分が出来上がっては、消えていきます。




思考と同じように、


血液も濁っていないだろうか。




胸の中に刻まれるのは、


命そのものに他ならず。




薄い膜の向こう側に、


今日も命が拍動しています。




ここでも、


あそこでも、


そのむこうでも。




今日もわたしは、己の拍動に揺られ、


砂粒のような川の響きを聴きながら眠ります。




生きているという確かな音に、耳を澄ませながら。

















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◆チベット玉樹大地震の被災者の方々に、平穏な日々がもたらされますように◆


         日本赤十字:中国青海省地震被害の救援金受付

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