2011年2月3日木曜日

『  許すということ  』

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粗(そあら)なる言葉をなすなかれ

言われたる者 

また 汝に返さん

怒りに出づる言葉は

げに 苦しみなり

返杖(しかえし)必ず

汝の身にいたらん


『 法句経 』 友松 圓諦著
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今日は節分です。

東京は麗らかな日和で、春がそっと手を伸ばしているのを感じます。



昨日は、とても苦しんでいる人と出逢い、お話をする機会がありました。


愛を失い、

その愛を失う流れを作ったと感じている人々に傷つき、憤り、

生きる意味や、

自分自身の価値の灯が消え、

それでも、なんとかして魂に光を取り戻そうとしておられました。


幸せになりたい、そう願う力も枯渇することがあります。


深く傷つき、自分自身を責め、

怒りや悲しみを押しこめることによって、

それらの感情が内側で腐敗し、

自分自身を蝕んでいきます。


このまま、朽ちてしまいたい。

できることなら、こうなった原因となった彼らも共に・・。


人は、時としてそういった濁った流れに飲まれることがあります。



そんなときはまず、自分の感情をきちんと出すこと。


悲しい悲しい、どうしてどうして、怒っている怒っている、どうしてどうして。


目の前に、泣きじゃくるもう一人の自分を据えて、一緒に泣き、怒り、

うんとうんと、言いたかったことをいいましょう。

「どうして愛してくれなかったの」



その次に、「本当に悪いと思っている人」が、本当に悪いのか、考えます。


なぜ裏切ったのか、

なぜ自分を罵ったのか、

なぜ、なぜ、なぜ。

相手の心の揺れ、弱さ、怯え、恐怖、それらを想像します。


相手の事情を、想像してみます。


この部分は、波立ちすぎているとき、自分一人では難しいかもしれません。


複雑な柄の描かれたコップを、一方向から見ているのが今の自分です。


裏側には、また違った柄が描かれ、色が異なり、

右側や左側から見てみると、くぼんでいたり、欠けていたりしますが、

そこからでは、見えていないのです。


自分からでは見えていない事柄があることを、

信頼できる友人や、

ヒーラーさんや、カウンセラーさんなど、

違う立場の人から聞かせていただくことで、広げていきます。



これは、「相手」のために行うのではありません。

「自分」のために行うのです。


怒りを感じているとき、「情報」が不足していると考えてください。

それが生じた状況や理由、隠された真実などを、その瞬間どれだけ受け取っているでしょうか。

複雑に絡んだそれぞれの人生の僅かな接点から、怒りが生じます。


たとえば駅の構内。

人の波に逆らって、乱暴に押しのけ、ぶつかっても謝らず、

逆に大声でどなりながら電車に向かっている男性がいるとします。


人々はその瞬間の姿、情報しか得られませんから、

乱暴な男性に閉口し、怒りを感じるでしょう。


けれど、その男性の家族が今まさに危篤で、必死の想いで電車に乗り込もうとしていたなら。

ずっとないがしろにしてきたのは親なのか、妻なのか、子供なのか、兄弟なのか。

死ぬなという想い、今までの後悔、自分自身への憤り・・・


もしテレビドラマで、彼の人生を見ることができたなら、

その事情を知っていたなら、幾らか乱暴な男性への怒りよりも、

いたわしい想いが湧いてくることでしょう。


情報を集めることで、人は怒りの火を鎮めることができます。


そうして、いくつも空想のテレビカメラを用意し、

自分なりに「悪いと信じて疑わない相手」を違う角度からとらえていきます。


その出来事が起きるにいたった、自分自身も振り返り、

いくつもサインが出ていたことや、

そこに自分もなにかしらの責任や意図が重なり、生じたことなのだと、

少しずつ粘土をこねるように、一方向から見ていたものを柔らかく練っていきます。



柔らかくなったら、最後の仕上げです。


不幸中の幸いを見つけます。

昨日話をした彼女の場合は、「そのまま結婚しなくて、本当に良かった」ということです。


最悪な出来事から、学びや、不幸中の幸いを見出します。


「これで済んでよかった」

「長い目で見たら、この痛みや苦しみが役に立つ日が来る」

「この経験があるから、考え方が、生き方が変わった」

「もう同じことにはならない」


不幸中の幸いを、上手に見つけていきましょう。

友達と一緒に、お茶をしながら、飲みながら、探しても素晴らしい時間です。



そして、決めます。


「 幸せになる 」




あなたが幸せになることが、

周囲の幸せに繋がります。


心地よくて、穏やかな気分で、もしくはとてもウキウキしていて。

そんなとき、何気なく声をかけたお店の店員さんや、同僚や友人にも、

その幸せは、隕石が落ちたときのような勢いで波紋のように広がり、

遠い国の誰かの肩に、

ひらひらと、

落ち葉や花びらや、タンポポの綿毛なんかを、

そっと載せているのです。



『 許す 』


こんなに難しいことはありません。

けれど、相手を許す、ということではなく、

相手を憎んでいる自分を許し、手放し、

そこから固定せずに動き出す、ということです。


その荷物を、いつまで大事に抱えて人生を歩くのでしょう。

美味しくない料理を、バケツいっぱいに詰めて、いつも持ち歩き、

電車の中で、

街の中で、

むしゃむしゃと食べているのを思うと、さっさと捨てて、

丁寧に作られた湯気の立つ美味しいものを食べたほうが、

本当は「いい」と、自分自身で、気がついているはずではありませんか。



昨日、私が初めて逢った方は、もう一人の私です。


彼女が抱えていた苦しみや怒り、孤独は、

私の中にもあったからこそ、彼女は私の前に現れたのだと、私は考えます。


だからこそ、私は、彼女の幸せを全身全霊で祈り、話をし、

彼女が抱えていた怒りや悲しみを、

一緒に空に見送るよう、そっと背中を押しました。


私の魂と、彼女の魂が呼応した一瞬のような夜です。


私は、幸せを願います。

自分の幸せを、丁寧に一瞬一瞬感じ、味わうことを大切にします。


そして、これを読んでくださる貴方が、貴女が、

幸せでありますように、祈ります。


許すということは、登山のようです。

自分を幸せにする、と決めたらなら、

登るしかない山道です。


険しく、けれど一歩一歩が清浄な道です。


そして、心は自由です。

ある日突然、風に乗り、雲に乗り、

山の頂上に、立っていることもあるのです。


変容。


人は変容します。


だからいいのです。 

あの人を許して。


だからいいのです。

うんと楽になって。


だからいいのです。

おもいきり幸せになって。



あなたの幸せを、祈ります。

愛をこめて。








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