昨日まで、3号機がただならぬ温度になっており、
爆発するのではないかと言われていました。
耐えられる温度は300度設定のところ、
昨夜は330度まであがっていました。
先ほど、一気に200度も下がり、さがった理由も分かりません。
一気にあがれば「計器の故障」と言い、
一気に下がれば「胴フランジは温度が上り下がりするもの」と問題にしません。
損傷のあるお湯のポットが、
急に沸騰したり冷めたりするのと訳が違いますよね。
この3号機は、以前からとても問題であると言われています。
この3号機がウランとプルトニウムの混合燃料、
MOX燃料というもので動いているプルサーマルという稼働方式だからです。
このMOX燃料、プルサーマル、
今回を機に少し勉強。
知れば知るほどに大変なものです。
ここに一冊の本があります。
プルトニウム物語〜プルサーマル物語〜【新版】松岡 理著
この本は、MOX(ウランとプルトニウムの混合物)燃料を推進する本です。
この「推進」する意見の人の中に、
今起きている多くの矛盾と問題点が含まれていると感じ、読んでみました。
今の原発の国・日本はどのように作られたのか、
また3号機が問題とされる【プルサーマル】【MOX燃料】とは何か。
まず、プルサーマルとは何か。
もともとウランを燃やして核分裂を起こす軽水炉に、
次々生まれて処理に困るプルトニウムも混ぜた燃料を使いましょう、というものです。
この考え方が、今日の日本の原発の推進に流れています。
彼らが主張する利点はこうです。
① 石油資源の欠如
② ウラン資源が0
③ エネルギー多消費国である
④ 電力における原子力の占める位置
⑤ 他国からの電力購入の可能性なし
⑥ 炭酸ガス低減効果が期待できる
⑦ 地球温暖化対策としても有効
(プルトニウム物語 P13より)
「天然ガスは生産量はごく微量、存在しないも同然」、と明記しています。
なぜプルサーマルを進めるのかの理由を高らかにこう述べます。
「我が国のプルトニウム利用の目的は、ウランの節約である」
「プルトニウムを多数保有していることは、諸外国から核武装の姿勢ととられるので、
余分なプルトニウムを保有せず、MOX燃料として消費する」
そしてP32に、
アメリカもプルトニウムを核兵器ではなく民生利用に転換するのではないか、
そうすれば、アメリカ国内でのMOX燃料の加工、
もしくは外国へ委託する動きが出てくると思われる・・と書かれています。
またP80では、
・米国はプルトニウムのMOX燃料加工技術を持っておらず、
外国に頼らざるを得ないと考えている
とも。
MOX燃料は、商品としてその加工技術、および燃料そのものが必需であり、
「商品」なのだ、
と言っているのです。
海外でのMOX燃料の運転実績のグラフが続き、
各国のMOX燃料の製造実績が紹介。
問題の起きている「常陽」「もんじゅ」「ふげん」の製造実績が示されます。
世界の再処理工場のある国の実績が示されます。
フランスもイギリスも、とんでもないですね。
この表を示して、
・自国で再処理施設を持たない国々は、これらの諸国へ再処理を委託している
とのこと。
お金儲けができますね、と暗に言っているのです。
そして、日本がプルトニウムを保有する意義として、
・ エネルギー保障の面で有意義
・ 核不拡散の姿勢を示すために有意義
だそうです。
資源のない日本で、プルトニウムを再利用することは、
< 安定供給の可能な自国産の貴重なエネルギー >
とあります。
また、プルトニウムを保有することは他国との信頼関係に繋がるので、
< 次々と核燃料として使用していく必要がある >
という主張です。
P115に、なかなかの暴論も書かれています。
・今から使用済みMOX燃料の再処理の方法が確立していないからといって、
プルサーマルを止めよというのは、いささか強引な反対論です
現在の原発はトイレのないマンションだ、という例えがあります。
問題を先延ばしにしたまま、欠陥マンションを建てる以上の話です。
また、
・青森 六ヶ所村でMOX燃料の再処理工場の建設予定だが、
地元の了解が遅れ、現在未定
とのこと。
自分はそこには住まないからこその言葉です。
この本を書かれた松岡氏は電力中央研究所顧問。
ここのトップは、
中部電力と東京電力の社長が交互に座っています。
お礼を述べられている数名の中に、
・東京電力 吉沢厚文氏
と記載がありました。
この方は、現在、
福島原発第一、5号機6号機の所長を務めらておられると出てきました。
< 現代ビジネス (週刊現代)福島第一原発出口のない闘い >
いま現場にいるのは、東京電力の社員が300~400名、
協力会社の社員が500~600名の1000名弱。
率いるのは、吉田所長のほか、
1~4号機担当の福良昌敏氏、
5・6号機担当の吉澤厚文氏というふたりの「ユニット所長」である。
日本の原子力推進をはかってこられた方々ですが、
この本を読んで、
< ウランとプルトニウムのMOX燃料は、将来的に【 商品 】である >
という認識が浮かび上がり、驚きました。
世界の処理できない核ゴミを受け入れてMOX燃料として販売、
アメリカにはその技術がないので委託されるであろう。
今回、原発事故が起きた際、
3号機がMOX燃料を使用したプルサーマルでとても危険、となりました。
しかし、TVも東電も、なかなか「MOX燃料」という言葉が出てきませんでした。
MOX燃料はウランを使った燃料よりも、
重大事故が起きた場合の人体への影響がずっと大きくなると訴えられているのです。
プルサーマルの危険性を警告する
エドウィン・S・ライマン博士 核管理研究所(NCI)科学部長
炉心全部をMOXとした場合、潜在ガン死の数は、161~386%*、
急性死の数は、60~480%*高くなる。
炉心に占めるMOXの割合と、放出されるアクチニドの割合により、
原子力発電所の半径110キロメートル以内の地域で、
何千、何万という数の潜在的ガン死が余分にもたらされることになる。
この距離は、計算上の便宜のために選ばれたものであり、
この地域の外でも影響が生じることはいうまでもない。
とても危険な3号機が大きく爆発し、
あの大規模な爆発は使用済み燃料の爆発ではないかと言われています。
3号機の爆発がいまだによく説明されないのも、
MOX燃料だと大々的に報じられないのも、
「商品」である、という意識も働いていたのではないかと思うのです。
そして、その影響もただならぬため、
例のごとく
「国民のパニックを抑える」ために、きちんと発表しないのではないかと。
広瀬隆氏の「原子炉時限爆弾」という本には
フランスと同様に日本でも、今回の原子力利用長期計画見直し(原子力政策大綱と改め)において、原子炉から取り出した使用済MOX燃料は再処理するかそれとも直接処分するか、決められていない。
発熱量だけ考えても、地下に直接処分するには表面温度が100度より低くならなければならないが、使用済ウラン燃料でも50年位もの時を経なければその条件を満たさないというのに、使用済MOX燃料ではその10倍、すなわち500年の時間がかかると見積もられているのだ。
使用済みMOX燃料が表面温度を100度より下回るためには、
500年の時間が必要!!
ずーっと、冷えた水で冷やし続けるのですね。
500年も。
そしてそこから先は、「どうするかわからない」のですね。
500年も生きる人はいません。
子々孫々、冷やし続ける必要があります。
もう、今あるものをどうすることもできません。
せめて、はやく冷却作業を進め、
1年でも2年でも、
未来へのつけを減らすことが誠実さではないでしょうか。
MOX燃料が爆発で飛散している場合、
本当に現在の避難地域で大丈夫でしょうか。
避難されていらっしゃる皆さんの「防護」は、現在の状態で大丈夫でしょうか。
風に乗って、東北や関東に飛散していると想像できますが、
本当に、「今のままで」大丈夫でしょうか?
できる対応があるのではないですか。
備えるものがあるのではないでしょうか。
いまだに各地の原発が動き、
原子力推進のために水面下で動き回っている気配を感じ、
< MOX燃料は商品 >
原子力から生じる一部の人々への多大な利益のために、
人の命が見えていないと感じるのです。
今、太陽系に新しい彗星が入って来たと NASAが発表しています。
地球規模で異変が起きたとき、
「地球という星そのもの」を考える日が切迫してくると思うのです。
豊かになる方法は、他にも有ると思います。
制御できない「火」は、
誰の手を焦がすのでしょうか。
今は火をつけた人よりも、
その火をよく知らなかった人たちから煙に巻かれているように思うのです。
人は、本当の意味で、火を制御することはできないのだと、
畏敬の念を、持たねばならないのだと思います。
◇ 美しい波紋が広がりますように・・感謝をこめて やんわりクリック◇
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